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人月ビジネスの行方 — 市場は残るが実装層は縮む

はじめに

「AI時代にSES市場は消える」という言説は言い過ぎだが、「今の自分のポジションは安全」という認識もまた誤りだ。市場全体の動向と、その中で自分が属する層の動向は、分けて考える必要がある。

市場全体は意外と残る

日本の多重下請け構造は、単なる商慣習ではなく、法律・稟議プロセス・責任分界の仕組みと深く結びついている。そのため、AIの普及だけで簡単に崩れるものではない。

加えて、以下のような需要は今後も継続・拡大すると思っている。

  • レガシーシステムの延命需要(向こう5〜10年は確実)
  • AI導入・AI活用そのものの開発需要
  • 非IT企業のDX需要

縮むのは「実装だけ」の層

市場全体が残る一方で、特定の層は確実に縮む。それは「設計工程にほとんど関与せず、仕様に従って実装するだけ」のポジションだ。

AIによって生産性が2〜3倍になると、発注側の合理的な判断は「人数を半分にする」方向に働きやすい。結果として、このレイヤーの単価は崩れていく。

さらに、エージェント経由の単価70〜100万円帯は挟み撃ちに遭う。

  • 下からは「AI + ジュニア」の組み合わせが迫る
  • 上からは直契約のシニアが降りてくる

真ん中が一番薄くなる構造だ。

新しい需要はどこから来るか

LLM組み込みやRAGといった新しい領域の需要は、雇用形態とは独立に存在する。SES経由で来ないわけではないが、知り合い経由・勉強会経由・直契約といったチャネルで流れる比率が相対的に高い、というのが実感に近い。

重要なのは、こうした新しい仕事に触れられる動線を自分で持っているかどうかだ。

タイムラインの肌感

  • 1〜2年: ほぼ変わらない
  • 2〜4年: じわじわと単価圧力。中間単価帯が最も厳しい
  • 4〜7年: 大きな再編の可能性。ここで切り替え済みかどうかで選択肢が変わる

重要な罠

「意外と続くかもしれない」という感覚は、行動を遅らせる方向に働きやすい。

市場が残ること自体は事実だ。しかし、続く時間を消費するか、投資するかの判断が、数年後の選択肢を大きく変える。猶予があることと、何もしなくていいことは違う。